はじめに
今回は百人一首のNo.15『君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ』の解説をしていきたいと思います。
『君がため春の野に出でて若菜つむ』解説
作者は?
この歌の作者は光孝天皇(830〜885)。第五十八代天皇です。藤原基経に推されて、陽成天皇の後をついで即位しました(ちなみに、陽成天皇の歌も百人一首No.13に収録されています)。鷹狩や相撲を好み、和歌や和琴に秀でていたと言われています。
意味は?
『君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ』の意味は以下のようになります。
「あなたのために、春の野に出かけていって、若菜を摘んでいる私の袖に、雪が次から次へと降りかかってくるのだ」
品詞分解は?
①君がため
君…名詞
が…格助詞
ため…名詞
ここでの「君」は若菜を贈る相手
②春の野に出でて
春…名詞
の…格助詞
野…名詞
に…格助詞
出で…ダ行下二段活用の連用形
て…接続助詞
③若菜つむ
若菜…名詞
つむ…マ行四段活用の連体形
「若菜」は春になって萌え出た食用・薬用の草の総称です(セリ・ナヅナ・ツクシなど)。古くから新春にそれらを食すると、邪気を払い病気を除くと考えられ、宮中でも「若菜の節会」として、新年の一月七日に七種の若菜を食して長寿を祈ったそうです。
④わが衣手に
わ…代名詞
が…格助詞
衣手…名詞
「衣手」は袖の歌語(和歌のみで使われる言葉)。
⑤雪は降りつつ
雪…名詞
は…係助詞
降り…ラ行四段活用の連用形
つつ…接続助詞
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
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百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。