はじめに
今回はMOA美術館所蔵、尾形光琳の『紅白梅図屏風』について解説していきます。
オススメ
この記事は以下の本、文献を参考にしています。
日本美術に興味を持ったかた、展覧会などに行ってもっと詳しく知りたくなった方は是非ご覧になってください。
尾形光琳とは?
尾形光琳とは江戸時代中期の代表的な画家です。
何文化?
元禄文化(17世紀後半から18世紀初頭)に分類されると言われています。
代表作『燕子花図屏風』
『紅白梅図屏風』解説
呼応
この絵には様々な対立要素が散りばめられていることが分かります。
まず、右の紅梅は若木で、盛んに細い枝を上に伸ばしていますが、左の白梅は屈曲しており老木であることが示されています。
梅の老若だけでなく、たたずむ梅の静さと水流の躍動感の対比、リアルな梅にたいしてデザイン的な川、梅が男性的で曲線的な水流が女性を暗示しているとの説もあります。
画中のあらゆるものが呼応し、相対する緻密な構成。それは装飾芸術の頂点にたつ光琳の真骨頂とも言えるものです。
琳派の系譜
琳派とは、平安時代の大和絵を基礎とした雅で装飾的な画風を得意とする職人や商人の家系といった自由な立場の絵師たちです。これは、中国様式の水墨画を和風にした雪舟の継承を自認し、権力者の後ろ楯を得て血縁関係や師弟関係を基盤に巨大にして強固な派閥を形成した狩野派とは対照的です。
琳派に共通するのが平面性、そして文様化とのほどよい写実の対比などが挙げられます。
光琳とクリムト
琳派のコンセプトは19世紀後半のオーストリアの画家、グスタフ・クリムトにも継承されていきます。
クリムトは1873年のウィーン万博に出展された光琳の『紅白梅図屏風』などの屏風画に強い衝撃を受け、日本流の金箔技術を習得し、油絵と融合させる独特の技法を確立しました。クリムトの代表作である『接吻』は、金箔を使用した装飾的で平面的な画法で描かれていて、「琳派」の屏風を彷彿させます。
クリムトは西洋における「琳派」の継承者といってもいいかもしれません。