はじめに
今回は百人一首のNo47『八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり』を解説していきます。
『八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり』解説
作者は?
この歌の作者は恵慶法師(えぎょうほうし)。十世紀後半の人です。
播磨国の講師(こうじ、国分寺の僧侶)だった言われていますが、詳しい経歴は不明です。
意味は?
『八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「幾重にもつる草の生い茂っている家の、さびしい所に、訪ねてくる人はいないけれども、秋はやって来ていたのだったよ」
この歌は大好きです。人気のないところに足を踏み入れたときにも、ふと鳥の鳴き声であったりとか、自然のものから季節の訪れは感じられるものです。
品詞分解は?
①八重葎
八重葎
②しげれる宿の
しげれる…
宿…名詞
の…
③さびしきに
さびしき…形容詞シク活用の連体形
に…格助詞
④人こそ見えね
人…名詞
こそ…係助詞
見え…ヤ行下二段活用の未然形
ね…打消の助動詞の已然形に
⑤秋は来にけり
秋…名詞
は…係助詞
来…カ行変格活用の連用形
に…完了の助動詞の連用形
けり…詠嘆の助動詞の終止形
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。