はじめに
今回は百人一首No.33『ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ』の説明をしていきます。
『ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ』解説
作者は?
この歌の作者は紀友則(?〜905?)。
紀貫之(No.35に歌が収録)の従兄弟で、三十六歌仙の一人です。
『古今集』の撰者の一人ですが、完成前に没しました。
意味・現代語訳は?
『ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ』の意味は以下のようになります。
「日の光がのどかにさしている春の日に、落ちついた心がないので桜の花が散っているのであろう」
この歌の見どころはやはり前半と後半の対比でしょう。「日の光がのどかにさしている」うららかな光景と「落ちついた心がないため散る桜の花」という切なく、それでいて畏怖を抱かせる光景のコントラスト。
この歌を読んだとき、僕には「B級映画でクラシック音楽が流れるなか人を殺しまくるマッドサイエンチスト」といった光景が思い浮かんでしましました笑
品詞分解(修辞法)は?
①ひさかたの(枕詞)
ひさかたの…枕詞、天・空・日・月などにかかります。ここでは「(日の)光」にかかっています
②光のどけき
光…名詞
のどけき…形容詞のク活用の連体形
③春の日に
春…名詞
の…格助詞
日…名詞
に…格助詞
④静心なく(擬人法)
静心…名詞、「落ちついた心」の意味で、桜が人の心を持つかのようにとらえる擬人法
なく…形容詞ク活用の連用形
⑤花の散るらむ
花…名詞
の…格助詞
散る…ラ行四段活用の終止形
らむ…推量の助動詞の連体形
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。