はじめに
今回は百人一首のNo24『このたびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに』を解説していきます。
『このたびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに』解説
作者は?
この歌の作者は菅家。菅原道真(845〜903)です。当代屈指の漢詩人です。
宇田天皇に仕え右大臣となりますが、藤原時平の讒言で太宰府に左遷され、そのまま没しました。
意味・現代語訳は?
『このたびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「この度の旅は、幣を捧げることもできない。さしあたって手向の山の紅葉の錦を幣として捧げるので、神のお心のままにお受けとりください」
「ぬさ」というのは木綿や錦の切れ端で作られた神への捧げ物。「紅葉のあまりの美しさに、持参した幣の錦などは捧げられない」「旅が急だったせいで、幣の用意ができなかった」など様々な解釈がありますが、いずれにせよ紅葉の美しさを讃える歌となっています。
品詞分解(句切れ)は?
①このたびは
こ…代名詞
の…格助詞
たび…名詞
は…係助詞
②ぬさもとりあへず
ぬさ…名詞
も…係助詞
とりあへ…ハ行下二段活用の未然形
ず…打ち消しの助動詞の終止形
「とる」ら「捧げる」の意味で、「あふ+打ち消し」で「〜しきれない」の意味になります
③手向山
手向山…名詞
④紅葉の錦
紅葉…名詞
の…格助詞
錦…名詞
⑤神のまにまに
神…名詞
の…格助詞
まにまに…副詞
「神の思うままに」の意味
見立ては?
この歌では紅葉の美しさを着物の錦織に見立てた表現が使われています。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。