はじめに
『小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ』 の現代語訳・意味、品詞分解、作者を解説していきます。
『小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ』解説
作者は?
この歌の作者は貞信公。藤原忠平のことです。
藤原氏全盛期の礎を築いたとされ、菅原道真とも親交がありました。
意味は?現代語訳は?
『小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ』 の現代語訳、意味は以下のようになります。
「小倉山の峰の紅葉よ、もしおまえに人間と同じ心があるのならば、もう一度行幸があるまで、散らずにまっていて欲しい」
背景
この歌の背景に、宇多上皇が大堰川に御幸(法王、上皇、女院のおでましのこと。行幸じゃ天皇のおでまし)した時に、紅葉の美しさに感動して、この紅葉を醍醐天皇にもお見せしたいと言ったのを貞信公がその気持ちを歌に託して天皇に奏上したというものがあります。
貞信公とは先ほども作者のところで述べたように藤原忠平のことで、藤原氏全盛の礎を気づいた権勢家です。やっぱり出世する人は上の人が喜ぶことをするのが上手い。
品詞分解
①小倉山
小倉山…固有名詞。京都市右京区嵯峨にある山です。
②峰のもみぢ葉
峰…名詞
の…格助詞
もみぢ葉…名詞
③心あらば
心…名詞
あら…ラ行変格活用の未然形
ば…接続助詞
「心」という言葉を「もみぢ葉」に使うことによって、紅葉を擬人化しています。
「ば」は未然形に続くことで「~ならば」という仮定条件を表します。
④今ひとたびの
今…副詞
ひとたび…名詞
の…格助詞
⑤みゆき待たなむ
みゆき…名詞
待た…タ行四段活用の未然形
なむ…願望の終助詞
「なむ」は未然形に接続して、「してほしい」という他者への願望を表します。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。FacebookTwitterEmailLineWhatsAppGmail共有