はじめに
今回は百人一首のNo59『やすらはで寝なましものをさ夜がふけてかたぶくまでの月を見しかな』を解説していきます。
『やすらはで寝なましものをさ夜がふけてかたぶくまでの月を見しかな』解説
作者は?
この歌の作者は赤染衛門(あかぞめえもん)(958?〜?)。『栄花物語』正編の作者かもしれないと言われています。
意味は?
『やすらはで寝なましものをさ夜がふけてかたぶくまでの月を見しかな』の意味は以下のようになります。
「あなたがおいでにならないことをはじめから知っていたら、ためらわずに寝てしまいましたでしょうに。今か今かとお待ちするうちに夜がふけて、西に傾くまでの月をみたことですよ」
品詞分解は?
①やすらはで
やすらは…ハ行四段活用の未然形
で…接続助詞
②寝なましものを
寝…ナ行下二段活用の連用形
な…完了の助動詞の未然形
まし…反実仮想(「もし〜だったら…なのに」という風に事実に反することを想像する)の助動詞の連体形、「あなたが来ないことをはじめから知っていたら」の意味が含まれます
ものを…逆接の接続助詞
③さ夜がふけて
さ夜…名詞、「さ」は接頭語
ふけ…カ行下二段活用の連用形
て…接続助詞
④かたぶくまでの
かたぶく…カ行四段活用の連体形
まで…副助詞
の…格助詞
⑤月を見しかな
月…名詞
を…格助詞
見…マ行上一段活用の連用形
し…過去の助動詞の連体形
かな…詠嘆の終助詞
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。