ルーブル美術館の作品解説~ジャン・クーザンの『エヴァ・プリマ・パンドラ』

はじめに

今回はルーブル美術館所蔵、ジャン・クーザンという画家の『エヴァ・プリマ・パンドラ』を解説します。

パンドラとは?

パンドラとは?

『パンドーラー』(ルフェーブル、1882年)

ゼウスによって創られた、人類最初の女性です。

男性はそれ以前にも存在していましたが、プロメテウスが人間に火を与えたことにゼウスは激怒。調子に乗らせてはいけないと、人間界に混乱をもたらすために女性を創り出します。

『プロメテウス』(Jan Cossiers、1636-68年、プラド美術館所蔵)

それがパンドラです。この背景には、ゼウスが自身の妻、ヘラの嫉妬に悩まされていたこともあります。

「パンドラ」という名前の意味

「パンドラ」は「全てを与えられたもの」という意味です

鍛冶の神ウルカヌスが泥で捏ねた女体にゼウスが息を吹き込み、十二神がそれぞれ贈り物を与えたことでパンドラが誕生したことが名前の由来です。

パンドラの神話

かくして、神をバックに完璧な女性が誕生した…、とはいかず、最後の贈り手が旅と商い、そして泥棒と嘘つきの守護神でもあるヘルメスだったため、パンドラは外見は美しいものの、本性は嘘つきの盗人という悪女となってしまいます。

ゼウスはパンドラをプロメテウスの弟エピメテウスの元に送ります。

エピメテウスの住まいには大きな甕があり、固く封印されていました。

しかし、好奇心の強いパンドラはこれを開けてしまいす。

『パンドラ』(ウォーターハウス、1869年、個人像)

すると、中から禍々しい毒気が溢れてきて、老齢、病気、痛苦、労役、貧困、煩悶、狂気など、女が生まれる前には存在していなかった災厄が世界を満たしてしまい、人類の黄金期は終わりを告げます(ちなみに、パンドラが慌てて蓋を閉めるのですが、その時に一つだけ残っていたものが「希望」でした。一応希望がもてるエンドですね笑)。

パンドラの箱

もうお分かりですね。この甕が後に箱に変わり、しかもその箱はパンドラが花嫁道具として持ってきた設定となり、触れてはいけないものや触らぬ神に祟りなしといった意味合いで「パンドラの箱」という言葉も使われるようになりました

『エヴァ・プリマ・パンドラ』(ジャン・クーザン)

 パンドラが描かれた絵

 中央で横たわっている女性がパンドラです。左手で抑えているのがパンドラの「壺」。画面中央にある赤い方の壺は、当時のアンリ2世パリ入場祝典記念品とされています。赤い壺が大きく、また目立つ画面中央に置かれていることから、「王の威光はパンドラの厄災をも抑える」といった絶対王政をたたえるメッセージとも読めます。

そして、その上にある名盤には絵のタイトルでもある、「エヴァ・プリマ・パンドラ」と記されています。

『エヴァ・プリマ・パンドラ』とは?

意味は、「かつてパンドラだったイヴ」

イヴというのは旧約聖書に出てくるエデンの園にいた女性。絶対に食べるなと言われていたリンゴを食べてしまい、アダムとイヴが楽園を追放される原因となった人物です。神は追放の際に、アダムには妻子のための重労働、イヴには出産の苦しみを言い渡します。

『アダムとイヴ』(デューラー、1507年、プラド美術館所蔵)

イヴとパンドラはともに世界のあらゆる苦しみの元凶となったとされているために、このようなメッセージが書いてあるわけですね

ジャンクーザン

ジャン・クーザンとは?

ジャン・クーザン(1490~1560頃)はフォンテーヌブロー派の一人と数えられる画家です。(フォンテーヌブロー派とはイタリアの影響を受けつつも徐々にフランスらしさを醸しだし始めた16世紀の絵画です)。『エヴァ・プリマ・パンドラ』は代表作であり、フランス絵画初の完全な裸婦像と言われています

参考文献

「怖い絵」で有名な中野京子

 『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』

西洋美術の理解にはギリシャ神話の知識が不可欠です。ハードルが高いと言う人はこの本から読みましょう。

お土産 Souvenir

せっかくなのでここに来てくれたお土産にどうぞ

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ルーブル美術館基本情報

チケット

公式サイトから購入が可能です(英・仏・スペイン)

外国語が苦手だよ、という人は現地で購入が可能です。待ち時間は30分前後です(もちろん時と場合によります)。

入場料

ルーブル美術館の入場料(当日券):€15
ルーブル美術館の入場料(オンライン事前予約):€17

18歳未満は無料です。

一般も毎月第一日曜日と7月14日(フランス革命記念日)は無料になります。

毎週金曜日18時以降は、国籍問わず26歳未満の方の常設展示室が入場無料になります(要パスポート)。

おみやげ

チュイルリー公園の書店

コンコルド広場側の入口近くに位置。

約4千冊の庭園に関する書籍が販売されています。青少年向けの書籍やマルチメディアのコーナー、オリジナルなポストカードやオブジェも。

ルーブル美術館の書店・ブティック

ピラミッド下に位置。

1階部分では、フランスと国外の美術館のコレクションや展覧会に関連した書籍(ガイドブック、作品目録、学術書、展覧会カタログ、写真集など)数千冊が販売されています。

また、専門雑誌、CD-ROMやビデオなども扱っており、ルーヴル美術館とその歴史、コレクション、展覧会に関する書籍も多数。

2階部分ではミュージアムグッズを販売しており、フランス国内外の主要美術館の所蔵作品に関連したアクセサリーや陶器、ムラージュなど、様々なオブジェが取り揃えられています。
 
カルコグラフィーのコーナーでは、17世紀から今日までに制作された銅版彫刻の原版からの版画が集められています。版画のモチーフは、美しい建築や風景、海 景、植物、肖像、宗教美術、装飾美術、現代美術まで様々。手作業で凹版印刷された版画には、ルーヴルのカルコグラフィーの焼印が入っています。

ミュージアム・ショップ

ピラミッドと逆さピラミッドを結ぶギャラリー内にあります。

ミュージアム・ショップでは、ポストカード、ポスター、額絵、カレンダー、マグネット、しおり、Tシャツ、マグカップなど、ルーヴルや国立美術館のコレクションのグッズが販売されています。

ルーヴルのコレクションを紹介するガイドブックも多言語でご用意されており、見学の手引きとしたり、見学後、作品に関する知識をさらに深めることが可能です。

レ・ザンファン・デュ・ミュゼ

ピラミッド下、グラン・ルーブル通路に位置。

子供向けの美術書の唯一の専門店です。美術が子供の遊びになるような書籍やゲームなどを数多く取り揃えています。

販売カウンター

美術館内に、美術館のガイドやグッズを販売するカウンターが7箇所あります。

ガイドブックやポストカードなどのグッズを販売されています。

所要時間

名作の宝庫なため、全作品をじっくり鑑賞しようとすると1カ月かかるとも言われています。

美術マニアでなくともその圧倒的な広さから、最低限でも2時間はとっておきましょう。

事前に見たい作品を決めておいて、その作品を最初に観てからはプラプラ館内を散歩するのが個人的にはおすすめです。きっと新たな画家や絵との出会いがあるはずです。

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