ウィーン美術史美術館の作品解説~コレッジョの『ガニュメーデースの誘拐』

はじめに

今回はウィーン美術史美術館所蔵、コレッジョの『ガニュメーデースの誘拐』について解説していきます。

ウィーン美術史美術館、Wikipediaより引用

コレッジョとは?

コレッジョとは?

コレッジョ(1489〜1583)はイタリアルネッサンス期の画家で、官能の画家と呼ばれています。

北イタリアのモデナの近くのコレッジョで生まれ、パルマを中心に活躍。本名はアントニオ・アッレグリで、生地の町の名にちなんでコレッジョと呼ばれるようになりました。

ガニュメーデースとは?

ガニュメーデースとは?

オウィディウスの『変身物語』によれば、ガニュメーデースはトロイア王トロスの息子。羊飼いをしています。

ガニュメーデースとゼウス

ガニュメーデースは類まれな美少年。この美少年に魅了されたユピテル(=ゼウス)が鷲に変身して彼を誘拐します。

誘拐されたガニュメーデースはオリュンポスで神々の酒ネクトルを注ぐ酌童とされてしまいました。

ガニュメーデースの神話解釈

美しい少年が成人男性に愛され誘拐されたという話は中々官能的というかホモホモしいというか。

それゆえに、このエピソードは少年愛あるいは同性愛を宗教的に肯定するためにつくられたという解釈がなされることもあります(昔は日本のみならずヨーロッパでも男色が一般的だったわけですね)

ガニュメーデースを描いた画家達

ガニュメーデースは多くの画家達に取り上げられてきました。コレッジョの他にも、ミケランジェロ、レンブラント、モローの絵が有名です。

ミケランジェロ『ガニュメーデース』(Art Museum, Cambridge所蔵)
なんかダイナミックであると同時にエロティックな感じです
レンブラント『ガニュメーデースの誘拐』(アルテ・マイスター絵画館所蔵)
もう、赤ん坊のうるさい泣き声が聞こえてきます
モロー『ガニュメーデース』(個人像)
スタイリッシュ誘拐笑

皆さんはどれが好みですか?(ちなみに私はレンブラントのブサイクな赤子が一番好きです。生意気さというか手の付けられなさが上手く描けている気がします笑)

『ガニュメーデースの誘拐』解説

構図

コレッジョは画面を縦長にすることで天空高く上ってゆくイメージを強化しています

色彩

『ガニュメーデースの誘拐』(ウィーン美術史美術館所蔵)
鷲となったゼウスの黒々しさが不気味
ガニュメーデースの目も何だか病んでいるかのようです

得意の明暗描写によって色彩の美しさを際立たせています。

ガニュメーデースの肌やマント、遠くに霞む山々など明るい色合いが美しいです。それだけに、画面上部を覆っている黒い大鷲(=ゼウス)がこのハ不気味な存在感を放っています

演出

鷲は両脚の爪でガニュメーデースの胴体をがっちりと掴んでいます。少年はその理不尽な誘拐から逃れようとしているでしょうか?

答は否ですね。

振り落とされまいと掴んでいるものの逃げようという素振りは窺えません。

まなざしも、先ほどのレンブラントの描いたガニュメーデースの様に泣き叫ぶというよりは、謎めいた視線をこちらに向けています。マインドコントロールされた少年のように見えなくもありません。

こうした曖昧さが同性愛・少年愛的な雰囲気を醸し出していると言われています。

参考文献

「怖い絵」中野京子

『怖い絵』(中野京子)

「こわい」ストーリーは人を惹き付けます。普通の解説本じゃ退屈な人はこの本から読みましょう。

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