浅井忠の『収穫』を解説~「自然を友とせよ」

はじめに

今回は東京藝術大学大学美術館所蔵、浅井忠の『収穫』を解説していきます。

浅井忠

『収穫』解説

両端の二人は刈り取った稲穂を束ね、千把(せんぱ)という農具でもみを落としています。中央の少女は落ちた穂を篩(ふるい)にかけています。手分けしてそれぞれの仕事に没頭する彼らは黙々と働いています

『収穫』(浅井忠、1890年、東京藝術大学大学美術館)
西洋絵画と言われても全く違和感のない作品。明治時代以降明らかに写実性を意識した作品が増えてきています。

人物の配置や姿勢に呼応するように、背後には大きな積み藁、木の幹や枝が斜めに描かれ、林や空に視線を誘います。農夫の手前に置かれた箕、右隅のやかん、篩や籠は画面を引き締め、右奥の柵や遠くの積み藁は大地の広がりを感じさせます

『落穂拾い』(ミレー、1857年、オルセー美術館)
浅井の作品はミレーを引き出して説明されることも多い。
実際に比較してみると、西洋絵画の中では少し田舎っぽいと思われていたミレーの作品も、フランスらしい繊細さというか洗練さを兼ね備えていることが分かる。もう人体が彫刻っぽい。
浅井の絵は強いタッチで、どちらかというとドイツやオランダなど北の芸術っぽい。

明治9年に来日し、工部美術学校で指導にあたったイタリア人画家アントニオ展フォンタネージはミレーらバルビゾン派に深く傾倒していました。教え子の浅井も、師の「自然を友とせよ」という教えを守り、詩情あふれるミレーの画境に近づくことを心がけました

アントニオ・フォンタネージ

浅井忠の他の作品

『春畝』

『春畝』(浅井忠、1888年、東京国立博物館)
朝ではなく夕方なのだと日の色で分かる(当ってるよね?)
絵を見ただけで気温や匂いが想像できるのは嬉しい。

参考文献

『日本美術101鑑賞ガイドブック』

この記事は『日本美術101鑑賞ガイドブック』(神林恒道 新関伸也編)を参考にしています。

日本美術史に興味ある方は是非。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です