百人一首No.17『ちはやぶる神代も聞かず竜田川』を解説~作者は?枕詞は?擬人法は?意味は?竜田川の場所は?感想

はじめに

今回は百人一首のNo.17『ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは』の解説をしていきたいと思います。

『ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは』解説

作者は?

作者は在原業平(825~880)。小野小町も含まれる、六歌仙の一人です。

在五中将・在中将とも呼ばれ、『伊勢物語』の主人公、「昔男」のモデルとされています。

枕詞は?

この歌の「ちはやぶる」とは、その後の「神」にかかる枕詞です。

枕詞とは、五音句からなり、ある語句の直前に置いて、声調を整えたり、印象を強めたり、その語句に具体的なイメージを与える言葉です

特定の語を出すためのお決まりの前振りみたいなもので、現代語にする際には訳さないことが多いです。

「ちはやぶる」の意味は?

「ちはやぶる」とは「ちはやぶ」という動詞の連体形で、「荒々しい」「猛々しい」という意味になります。ただ、枕詞なのでこの歌では訳しません。

擬人法は?

この歌では擬人法が用いられています。それは、「竜田川」。

その後の「くくる」という「くくり染め(絞り染め)にする」という意味の動詞の主語が竜田川となり、擬人法となっています。

歌の意味は?

この歌の意味は、「不思議なことの多い神代でも聞いたことがない。竜田川が唐紅色に水をくくり染めにしているとは」となります。

竜田川の場所は?

竜田川は奈良県を流れる川です。生駒山を源としています。

感想

この歌の魅力は秋の美しい情景を想像させてくれることでしょう。日本人なら誰もが親しんでいる「川」と「紅葉」のコラボレーションを頭の中に描き出さずにはいられません。

『六十余州名所図会』(歌川広重)

「神代も聞かず」という表現も良いですよね。業平ならずとも今現代に生きる我々誰しもが美しい風景を観たときには、感動のあまり自分の世界に陥り、その景色を独占しているという感覚に陥るはずです。そんな言葉にならない圧倒的な恍惚感が上手く表現されていると思います。

あとはやはり「唐紅」というワードチョイスでしょうか。同じ「赤」といっても、日本で美しいとされる赤と他の文化圏で美しいとされる赤は異なってきます。日本人が美しい赤と聞いて思い浮かべるのはやはり紅葉の「赤」。紅葉の赤にももちろん色々ありますが、「唐紅」と聞いて「ああ、あの紅葉の色ね」となるのはこの業平の歌と共に美意識が代々受け継がれているからとも言えるのではないでしょうか。

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解ものっています。勉強のお供に是非。

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