百人一首No.6『かささぎの渡せる橋におく霜の』解説〜意味・修辞法・季節・品詞分解

はじめに

今回は百人一首のNo.6『かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける』の解説をしていきます。

『かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける』解説

作者は?

この歌の作者は中納言家持、大伴家持(718?〜785)。三十六歌仙の一人です。

『万葉集』の編纂に関係したとされており、『万葉集』の中、最多の473首が収録されています。

意味・現代語訳は?

『かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける』の意味・現代語訳は以下のようになります。

「かささぎが翼をつらねて渡したという橋―宮中の御橋に降りている霜が白いのを見ると、もう夜もふけてしまったのだった」

修辞法は?

この歌では「見立て」という修辞法が使われています。

「かささぎ」とはカラス科の鳥。中国の七夕伝説では、翼をつらねて橋となり、天の川にかかって織女を牽牛のもとへ渡すとされました。

今回の歌では宮中の橋をその天上の橋に見立てているわけなんですね。なんとも粋な見立てです。

季節は?

この歌で描かれている季節は冬。冬の夜ふけのきびしい寒さを、宮中の御橋(階段)におりた霜の白さによってとらえた歌です。

品詞分解は?

①かささぎの

かささぎ…名詞

の…格助詞

②渡せる橋に

渡せ…サ行四段活用の命令形

る…存続の助動詞の連体形

橋…名詞

に…格助詞

③おく霜の

おく…カ行四段活用の連体形

霜…名詞

の…格助詞

④白きをみれば

白き…形容詞ク活用の連体形

を…格助詞

みれ…マ行上一段活用の已然形

ば…接続助詞

⑤夜ぞふけにける

夜…名詞

ぞ…係助詞

ふけ…カ行下二段活用の連用形

に…完了の助動詞の連用形

ける…詠嘆の助動詞の連体形、「ぞ」を受けて連体形になっています

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。

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