目次
はじめに
今回は百人一首のNo23『月みればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど』を解説していきます。
『月みればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど』解説
作者は?
作者は大江千里(おおえのちさと)。九世紀後半から十世紀初頭の人です。
在原行平(No16)、在原業平(No17)の甥で、文書博士。
唐の詩人白居易らの詩句を和歌によって表現しようとしました。
歌集に『句題和歌』があります。
意味・現代語訳は?
『月みればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「月を見ると、あれこれと際限なく物事が悲しく思われるなあ。私一人だけの秋ではないけれども」
夜にスマホをしまって、静かなところで月を眺めていると、綺麗だな、と思う一方で、後悔やら将来の心配やら色々とネガティブな思いが頭の中に浮かんできます。ちょっぴりしんみりとした気持ちになる。
品詞分解(句切れ)は?
①月みれば
月…名詞
みれ…マ行上一段活用の已然形
ば…接続助詞
②ちぢにものこそ
ちぢに…形容動詞ナリ活用の連用形
もの…名詞
こそ…係助詞
③悲しけれ(句切れ)
悲しけれ…形容詞シク活用の已然形、「こそ」を受けています
ここまでで三句切れです
④わが身一つの
わ…代名詞
が…格助詞
身…名詞
一つ…名詞
の…格助詞
⑤秋にはあらねど
秋…名詞
に…断定の助動詞の連用形
は…係助詞
あら…ラ行変格活用の未然形
ね…打ち消しの助動詞の已然形
ど..,接続助詞
倒置法は?
この歌では、上の句と下の句が倒置の関係となっています。本来は「私一人の秋ではないけれど月を見ると寂しい」となるのが入れ替わっています。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。