目次
はじめに
今回は百人一首のNo37『白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける』を解説していきます。
『白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける』解説
作者は?
この歌の作者は文屋朝康(ふんやのあさやす)です。九世紀後半から十世紀初頭の人です。
意味・現代語訳は?
『白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「白露に風がしきにり吹いている秋の野は、緖(ひも)で貫きとめていない玉が散り乱れていたのだったよ」
品詞分解は?
①白露に
白露…名詞、草葉の上で露が白く光るのを強調した表現
に…格助詞
②風の吹きしく
風…名詞
の…格助詞
吹きしく…カ行四段活用の連体形
③秋の野は
秋…名詞
の…格助詞
野…名詞
は…係助詞
④つらぬきとめね
つらぬきとめ…マ行下二段活用の未然形
ぬ…打ち消しの助動詞の連体形
⑤玉ぞ散りける
玉…名詞、ここでは真珠のことを意味する。穴をあけていくつも通し、装飾道具として用いられていた。
ぞ…係助詞
散り…ラ行四段活用の連用形
ける…詠嘆の助動詞の連体形、「ぞ」を受けて連体形になっている
見立ては?
この歌では、風に吹き散らされる白露の輝きを、緖に結びとめなかったためにばらばらに乱れた玉の輝きに見立てています。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。