ラフマニノフ『パガニーニの主題による狂詩曲』解説〜成立・背景、構成

はじめに

今回はセルゲイ・ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』を解説していきます。

『パガニーニの主題による狂詩曲』解説

成立・背景

狂詩曲とは?

『パガニーニの主題による狂詩曲』は、ロシアの作曲家・ピアニスト・指揮者であるセルゲイ・ラフマニノフが1934年に作曲した、ピアノを独奏楽器とする協奏的狂詩曲です。

この曲はパガニーニが作曲した『24のカプリース』の第24番の主題をもとに、24の変奏を試みている作品です。「狂詩曲」とはラプソディのことで、自由な形式でつくられた幻想的な楽曲のことをいいます。

パガニーニ

ロシア革命の影

ラフマニノフはスイスの湖畔にある別荘でこの曲を作ったのですが、それ以前の数年間は停滞期に入っていました。

その原因とされているのがロシア革命です。革命によって皇帝専制政治が倒れ社会主義国家が誕生すると、ラフマニノフは家族とともにスカンディナヴィア諸国への演奏に出かけ、そのままロシアには戻ってきませんでした。

1905年の第1次革命、1917年の第2次革命で、レーニンが指揮したボルシェヴィキによって十月革命が成立。社会主義国家の道へ。

ロシアを出た翌年の1918年にはアメリカに渡り、コンサート・ピアニストとしての活動に主軸を置くようになりますが、作曲家としての活動は停滞します。

これは演奏活動に時間が割かれたことはもちろんですが、祖国を喪失したことで創作意欲が衰えてしまったとも考えられています。

そのため、1931年に作曲下さいれた『パガニーニの主題による狂詩曲』は1926年の『ピアノ協奏曲』第4番と並んで、久しぶりの作品だったわけです。

構成

『パガニーニの主題による狂詩曲』は一般的な変奏曲とは異なり、主題が第1変奏のあとに置かれ、その後は一つの主題をもとに多彩な変奏が繰り広げられます。

独奏曲として単独で演奏されることもある第18変奏では、第17変奏までの鋭いイメージから変わり、甘美な旋律が登場します。フィナーレは非常に優雅。

第18変奏は映画、アニメ、コマーシャルなどにもよく使われております、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。「いかにもクラシック」的な、甘くも神聖で、それでいて切ない印象を与える音楽です。是非センチメンタルな気分の時に聴いてみて下さい。優しい旋律があなたを包み込んでくれるはずです。

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。

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