はじめに
今回は交響的印象『スペインの庭』を解説します。
『スペインの庭の夜』解説
英語名
『スペインの庭の夜』の英語名は「Nights in the Gardens of Spain」です。
作曲者は?
この曲の作曲者はマヌエル・デ・ファリャ。19世紀末から20世紀中頃にかけて活躍したスペインの作曲家です。
ファリャは母親がピアニストだったこともあり、彼女からピアノのレッスンを受け、その後は有名な音楽家であるホセ・トラゴからもピアノを習っています。
1901年からはスペイン民俗音楽の祖ともいわれるフェリペ・ペドレルに師事。16世紀スペインの教会音楽や民俗音楽、スペインの国民的オペラであるサルスエラを学びます。
成立
ファリャは1907年から1914年までパリに滞在していたのですが、そのときに親交のあったピアニスト、リカルド・ビニュスに『スペインの庭の夜』を献呈しています。
最初はピアノ独奏曲『3つの夜想曲』として構想されていたのですが、ビニュスのアドバイスにより、独奏ピアノと管弦楽のための曲となり、題名も『スペインの庭のよる』となりました。
作品は1915年にスペインで完成。初演は1916年にマドリード王立劇場で行われました。
構成
『スペインの庭』は「ヘネラリーフェにて」「はるかな踊り」「コルドバ山の庭にて」の3つの楽章で構成されています。
第1楽章はワーグナー、第2楽章はドビュッシーの楽曲で聞こえてくる和音が使われており、同時代の作曲家たちの影響を受けているといわれています。作曲がパリで進められていたためか、ドビュッシーの『夜想曲』やラヴェルの『スペイン狂詩曲』の影響を受けているとも考えられています。
このピアノ協奏曲とも交響詩とも呼べる作品は、ファリャ自身によって「交響的印象」と名付けられました。
是非、スペイン的な要素とフランスの要素を併せ持った音楽を堪能してみて下さい。
参考文献
この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。
音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。