はじめに
今回は百人一首No.77の『瀬をはやみ岩にせかるう滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ』 を解説していきます。
『瀬をはやみ岩にせかるう滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ』解説
作者は?
この歌の作者は崇徳院(1119~1164)。第七十五代天皇です。
鳥羽天皇の第一皇子ですが、父と不仲で、在位十八年で退位させられました。
その後は和歌に没頭し、『詞花集』撰進を藤原顕輔に命じます。
保元の乱に敗れた後は讃岐に流されました。
意味・口語訳は?
『瀬をはやみ岩にせかるう滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ』 の意味・口語訳は以下のようになります。
「川瀬の流れがはやいので、岩にせき止められる急流が、二つに分かれてもまた一つになるように、恋しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと逢おうと思う」
素晴らしい歌ですね。愛する人との別れ、夢破れる挫折に直面した際にも、「いつか必ず」という言葉があれば心は死んでいないことが分かります。
品詞分解(修辞法)は?
①瀬をはやみ
瀬…名詞、「瀬」は川の流れが浅いところ
を…間投助詞
はや…形容詞の語幹
み…接続語尾
「~(を)+形容詞の語幹+み」で「~が~なので」という原因・理由を表す表現になります。
②岩にせかるる
岩…名詞
に…格助詞
せか…カ行四段活用の未然形
るる…受け身の助動詞の連体形
「岩にせきとめられる」の意味
③滝川の
滝川…名詞
の…格助詞
「瀬をはやみ」から「滝川の」までが「われても末にあはむ」を起こす序詞です。
④われても末に(序詞)
われ…ラ行下二段活用
て…接続助詞
も…係助詞
末…名詞
に…格助詞
⑤あはむとぞ思ふ
あは…ハ行四段活用の未然形
む…意思の助動詞の終止形
と…格助詞
ぞ…係助詞
思ふ…ハ行四段活用の連体形、「ぞ」を受けて連体形になります
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。