ダヴィッドの『マリーアントワネット最後の肖像』を解説~屈辱の断頭台行き

はじめに

今回はパリ国立図書館所蔵、ルイ・ダヴィッドの『マリ―アントワネット最後の肖像』を解説していきます。

ダヴィッドとは?

ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748~1825)は新古典派の代表画家として知られる画家です。代表作は『ナポレオンの戴冠式』や『テルモピレーのレオニダス』などです

今回紹介する『マリ―アントワネット最後の肖像』を描いたときはジャコバン党の闘士であり、ルイ16世の処刑には賛成票を投じるなど反王政の急先鋒でした。暗殺された革命家マラーをイエスと同一視するかの如く(ミケランジェロの『ピエタ』に似ている)描いた『マラーの死』も彼の作品では有名です。

『ピエタ』(ミケランジェロ、1498-1500年、サン・ピエトロ大聖堂、Wikipediaより引用)
『マラーの死』(ダヴィッド、1793年、ブリュッセル王立美術館)

ところが、ロベスピエールが処刑されるとなると今度は彼のスケッチをしたり、ナポレオンが皇帝となると彼の肖像画を量産するなど、変わり身の早さでもよく知られている人物でもあります

『書斎のナポレオン』(ダヴィッド、1812年、ワシントン・ナショナルギャラリー)

『マリーアントワネット最後の肖像』解説

フランス革命から四年後の1793年秋、市内引き回しにあうマリー・アントワネットを描いたもの。動物死体運搬用の荷車に両手を縛られて運ばれて。パリ中の見物人に晒されながらコンコルド広場のギロチン台へと運ばれます。処刑人はルイ16世も担当したサンソン。

サンソン
ルイ16世の首を見せるサンソン

マリー・アントワネットと言えば華やかな絵画を想像する人も多いと思うのですが、ここではそういった虚飾は一切省かれています

これは単にシンプルに描いたからというよりはダヴィッドの悪意を感じる演出です。さりげなく醜い点が強調されています。例えば髪の毛。ギロチンで首を斬る際に邪魔にならないように雑に切り取られています。耳までの散切り頭はさぞかし屈辱的だったことでしょう

『マリー・アントワネット最後の肖像』(ダヴィッド、1793年、パリ国立図書館)

さらにハプスブルク家代々の口の歪み。いかにも意地悪そうな継母といった風に気を遣って美しく描こうという気は微塵も感じられません

シンプルさの中に強烈に嫌味の効いた作品であると言えるでしょう

参考文献

この記事は『怖い絵』(中野京子)を参考にしています。

興味を持った方は是非。

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