目次
はじめに
今回は百人一首No46『由良のとを渡る舟人かぢをたえ行くえも知らぬ恋の道かな』を解説していきます。
『由良のとを渡る舟人かぢをたえ行くえも知らぬ恋の道かな』解説
作者は?
曽禰好忠
この歌の作者は曽禰好忠(そねのよしただ)。十世紀後半の人です。
どんな人?
長く丹後の地方役人を務めたことから「曽丹後・曽丹」と呼ばれています。
斬新な歌で知られましたが、偏屈で自損神が強く、当時の歌壇には受け入れられませんでした。
意味は?
『由良のとを渡る舟人かぢをたえ行くえも知らぬ恋の道かな』の意味は以下のようになります。
「由良の瀬戸を漕ぎ渡っていく舟人が、かじがなくなって行く先もわからずに漂うように、これからの行く末のわからない恋のなりゆきだなあ」
品詞分解は?
①由良のとを
由良…固有名詞
の…格助詞
と…名詞
を…格助詞
②渡る舟人
渡る…ラ行四段活用の連体形
舟人…名詞
③かぢをたえ
かぢ…名詞
を…間投助詞
たえ…ヤ行下二段活用の連用形
④行くえも知らぬ
行くえ…名詞
も…係助詞
知ら…ラ行四段活用の未然形
ぬ…打消の助動詞の連体形
⑤恋の道かな
恋…名詞
の…格助詞
道…名詞
かな…終助詞
修辞法は?
序詞
この歌では「由良のとを」から「かぢをたえ」までが、「行くへも知らぬ」を導く序詞となっています。
縁語
「と」「渡る」「舟人」「かぢ」「行くへ」「道」が縁語となっています。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。